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福岡地方裁判所小倉支部 平成12年(ソラ)36号 決定 2000年11月10日

主文

本件抗告を却下する。

事実及び理由

一  抗告の趣旨及びその理由は、別紙抗告状の写しのとおりである。

二  民事訴訟法223条4項は、文書提出の申立てについての決定に対しては即時抗告をすることができると規定するが、文書提出命令の申立てを却下した決定に対しては、本案事件の弁論終結に至るまで即時抗告が許され、弁論終結後は許されないと解するのが相当である。すなわち文書提出命令の申立ては、書証の取調申出の方法としてなされるものであって、本案事件につき弁論が終結された後においては、文書提出命令に基づき文書が提出されても書証として提出する余地はないのであるから、文書提出命令の申立てを却下した決定に対しては、即時抗告をなす利益を欠き、許されないものといわなければならない。右却下決定の当否は本案判決に対する控訴審において改めて判断を受ける機会があり、また、それで足りるのであるから、文書提出命令申立人には、何ら不利益はない。

これを本件についてみるに、本案事件の平成12年11月7日第5回口頭弁論期日において、抗告人のなした本件文書提出命令の申立て(平成12年9月8日付け)を却下し、同事件の口頭弁論を終結したことは当裁判所に顕著である。

三  よって、本件抗告は、不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるから、民事訴訟法331条、287条1項に従い、これを却下することとし、主文のとおり決定する。

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